木材乾燥器をお持ちの場合は、32度ぐらいにセットしてひと晩乾燥させてください。木材乾燥機器をお持ちでない場合は、ぬるま湯につけて冷めるまで待ち、冷めたらお湯を入れ替えて再び冷めるまで待ちます。この作業を数回くり返すと、シンナー臭を軽減できるはずです。ぬるま湯から出したあとはしっかりと乾燥させるようにしてください。
木固めエース用の専用シンナーをプレポリマーに使うことはおすすめできません。溶解力と揮発性が異なるからです。その逆、PS-NYシンナーを木固めエースに使用すること問題ありません。
自然志向の高まりを受け、最近は木固めをした後、器やカトラリーの表面を植物性のオイルやワックスでコーティングしている作り手もいます。木固め剤はもともと木の中に水や汚れがしみ込まないようにするためのものです。木にオイルを吸い込ませ、表面を長期的に保護する本来のオイル仕上げと木固め剤は原理的には相容れないものですが、塗装は可能です。オイルやワックスを塗るときは木固め作業の後、1日以上放置し、お湯と中性洗剤で洗い、よく乾燥させてからにしてください。この工程を省くと、オイルやワックスに含まれる水分と木固め剤の溶剤が反応し、仕上がり不良の原因となります。なお、ワックスは塗膜を形成するタイプの塗料ではありませんので、定期的なメンテナンス(塗り直し)が必要です。エンドユーザーへ正しい使用法を周知させるようにしましょう。
木固めエースの乾燥・硬化後の塗膜硬度は鉛筆硬度で表記した場合、F前後です。針葉樹用のプレポリマー(PS No.1000)の鉛筆硬度はF~H、広葉樹用のプレポリマー(PS No.2000)の鉛筆硬度はB~HBです。エステロンカスタムDX(2液型の専用ウレタン塗料)の鉛筆硬度は2H前後です。
プレポリマーとエステロンカスタムDXは、もともと学校給食器用に開発した塗料のため、食洗機を使った熱湯洗浄は可能です。ただし、十分に乾燥させた木地を使うこと、木固め剤を十分に含浸させていること、目止め・中塗り・仕上げ塗りの工程が手抜きなく行われることが前提です。
木固めエース・プレポリマーは、空気中のわずかな水分とも反応して硬化する性質があります。未開封であっても使用期限目安が約1年半と短く、量販店から販売を敬遠される傾向にあります。このため、一部の専門店をのぞき実店舗での販売は行っていないのが現状です。
専用シンナー(うすめ液)には、木固めエース用とプレポリマー用の2種類があります。どちらもウレタン系のシンナーで、シリーズ品との相性を考えた組成バランスになっています。専用シンナー以外で木固めエースやプレポリマーを希釈したり、余分な塗料の拭き取りに使うと、凝固や白濁が起こったり、乾燥後も表面がべたつきが残ることがあります。とくにアルコール分を含むラッカーシンナーの使用は避けてください。塗膜強度が保たれず、すぐに剥離してしまいます。
両方とも基本的な性能はまったく同じですが、木固めエースは木材の塗装に不慣れな方でも使いやすいよう配慮してあり、次のような特徴を備えています。
1. 少量からでも購入できる。
2. 硬化がややゆっくり進むよう調合してある。
3. シンナーで希釈せずに、そのまま塗布できる。
4. 針葉樹、広葉樹の両方に対応できる。
一方、プレポリマーはユーザーの好みに応じ、シンナーで濃度を調整(希釈)して使います。使用状況によりますが、木固めエースの約半分のコストで施工できるため量産に適しています。