木材乾燥器をお持ちの場合は、32度ぐらいにセットしてひと晩乾燥させてください。木材乾燥機器をお持ちでない場合は、ぬるま湯につけて冷めるまで待ち、冷めたらお湯を入れ替えて再び冷めるまで待ちます。この作業を数回くり返すと、シンナー臭を軽減できるはずです。ぬるま湯から出したあとはしっかりと乾燥させるようにしてください。
シンナー臭はいずれ揮発して消えるものですが、さまざまな要因で揮発に時間がかかってしまうことがあるようです。原因はふたつ考えられます。
1. 木固めが終わったあと、十分に乾燥しないうちに仕上げ塗装を行った。
2. 木固め作業のとき、表面に残った木固め剤をウエスでしっかりと拭き取らなかった。
上記とは別に、ヤニなどの樹脂成分が熱湯で溶出して臭いを発し、それを一般の消費者がシンナー臭と混同するケースもあるようです。
エステロンカスタムDXは2液型のポリウレタン樹脂塗料で、主剤と硬化剤をセットで販売しています。主剤と硬化剤は、2:1の割合で混合してください。このバランスが崩れると、塗膜が白く変色したり、時間をおいても硬化しないことがあります。また、配合した液剤をよく撹拌せずに使用した場合や、容器のへりやふちで固化した成分をヘラでかき出し、混入させてしまった場合も、同様の症状が発生することがあります。
塗装(トップコート)に失敗してしまったときは電動グラインダーや粗めのサンドペーパーで塗膜を取り除いた後、当会で公開しているマニュアルを参考に、正しい配合比率、シンナーの希釈割合、十分な混合・攪拌、硬化養生(乾燥)時間を守って再塗装を行ってください。
できます。その場合は主剤と硬化剤を2:1の割合で混合し、その全体量に対してPS-NYシンナーを0.5~1.5の割合で加えて希釈してください。ただし、塗膜の美しさは刷毛塗りよりスプレーガンのほうがはるかに上です。
問題ありませんが、次の点が異なりますのでご注意ください。仕上げクリヤーは1液型のポリウレタン樹脂塗料で、アマチュアでも使いやすい仕様になっています。対してエステロンカスタムDXクリヤーは2液型のポリウレタン樹脂塗料のため、塗布する前に混合し、攪拌(かくはん)する必要があります。一般的に1液型より2液型のエステロンカスタムDXのほうが塗膜強度は高くなります。
問題ありません。ただし、木固めエースを塗ってから時間が経過している場合は、耐水ペーパーで水研ぎし、微細なゴミを除去してから塗布してください。耐久性をさらに高めたい場合は、エステロンカスタム・目止剤クリヤーを塗った後、エステロンカスタムDXで仕上げると効果的です。
木固めエース用の専用シンナーをプレポリマーに使うことはおすすめできません。溶解力と揮発性が異なるからです。その逆、PS-NYシンナーを木固めエースに使用すること問題ありません。
ツヤ消しのDXクリアーには顔料(シリカの微粒子が)入っています。顔料が外からの光を乱反射することでツヤ消しに見せる効果があります。微粒子とはいえ一種の不純物ですから塗膜の強度は落ちます。そのために中塗りには強度のあるDXクリアーの使用を推奨しています。
自然志向の高まりを受け、最近は木固めをした後、器やカトラリーの表面を植物性のオイルやワックスでコーティングしている作り手もいます。木固め剤はもともと木の中に水や汚れがしみ込まないようにするためのものです。木にオイルを吸い込ませ、表面を長期的に保護する本来のオイル仕上げと木固め剤は原理的には相容れないものですが、塗装は可能です。オイルやワックスを塗るときは木固め作業の後、1日以上放置し、お湯と中性洗剤で洗い、よく乾燥させてからにしてください。この工程を省くと、オイルやワックスに含まれる水分と木固め剤の溶剤が反応し、仕上がり不良の原因となります。なお、ワックスは塗膜を形成するタイプの塗料ではありませんので、定期的なメンテナンス(塗り直し)が必要です。エンドユーザーへ正しい使用法を周知させるようにしましょう。
毎日使う汁椀やコーヒーカップ、業務用の食器やカトラリーは、面倒でも工程通りに施工することをおすすめします。完成直後の見た目は大差なくても、5年、10年と使い続けると、せっかくの木固め効果が消えてしまいます。汁物をのせないパン皿やプレート皿などは目止めをせずに仕上げてもかいまいません。
木固めエース(プレポリマー)は、天然木の木質強化を目的として開発された含浸性ウレタン塗料です。木材の導管に沿ってしみ込む性質があるため、合板やMDFへの効果は見込めません。また木固めエースに含まれる溶剤が合板に使用されている接着剤を溶かしてしまう可能性もあるため、推奨しておりません。
木固めエースの乾燥・硬化後の塗膜硬度は鉛筆硬度で表記した場合、F前後です。針葉樹用のプレポリマー(PS No.1000)の鉛筆硬度はF~H、広葉樹用のプレポリマー(PS No.2000)の鉛筆硬度はB~HBです。エステロンカスタムDX(2液型の専用ウレタン塗料)の鉛筆硬度は2H前後です。
プレポリマーとエステロンカスタムDXは、もともと学校給食器用に開発した塗料のため、食洗機を使った熱湯洗浄は可能です。ただし、十分に乾燥させた木地を使うこと、木固め剤を十分に含浸させていること、目止め・中塗り・仕上げ塗りの工程が手抜きなく行われることが前提です。
針葉樹と広葉樹、広葉樹でもケヤキやナラのような環孔材とメイプルやブナのような散孔材かで、使用量が大きく変わります。例えば、スギの普通材(白太でない部分)を3回塗りで仕上げると、約1.6平方メートルを施工できます。同じ条件でヒノキは約1.5平方メートル、ケヤキは約1.8平方メートルが目安です。
実際は液剤をこぼしたり、刷毛や拭き取りに使う布に吸収されたりしますから、歩留まりを90%前後と見込んでください。1回塗りの場合、計算ではこの3倍塗れることになりますが、しみ込む量は1回目が一番多く、2回目、3回目は減りますから、平均して2倍前後と考えてください。
適切に乾燥された木材であれば、一定の効果が見込めます。木固め剤が浸透するのは、木の表面からコンマ数ミリ程度です。木材は完全に乾燥させても湿度の変動でわずかに伸び縮みします。木固め剤が防げるのは、この微小な狂いだと思っていただくとよいでしょう。生木の狂いを抑え込むほどの強力な効果はありません。当会では含水率8-15%の木材に使用することを推奨しています。
木固め加工を施すことで木材の内部に水がしみ込みにくくなるので、多少の効果は見込めます。ただし、表面に汚れや水分を残したまま、高温多湿なところに放置すると、木固め加工をしていてもカビが生える可能性は十分にあります。
竹の表皮は油分が多く、木固め剤をはじいてしまうため効果がありませんが、白い肉質部分には一定の効果が見込めます。ただし、竹のしなやかさは失われてしまいます。
家具、楽器、玩具などほとんどの木製品に使えます。変わったところでは木製スピーカーの筐体、渓流釣り道具(ランディングネット)の耐水塗料としても使われています。楽器の例としては、オーストラリアのアボロジニー族が使う巨大な笛に塗った方から「ひびが入りにくくなり、音色がとてもよくなった」という報告がありました。表面が硬化することでよく響くようになるようです。ただし、音色は好みがありますので、すべての楽器に当てはまるかどうかはわかりません。
木固めエース・プレポリマーは、空気中のわずかな水分とも反応して硬化する性質があります。未開封であっても使用期限目安が約1年半と短く、量販店から販売を敬遠される傾向にあります。このため、一部の専門店をのぞき実店舗での販売は行っていないのが現状です。
専用シンナー(うすめ液)には、木固めエース用とプレポリマー用の2種類があります。どちらもウレタン系のシンナーで、シリーズ品との相性を考えた組成バランスになっています。専用シンナー以外で木固めエースやプレポリマーを希釈したり、余分な塗料の拭き取りに使うと、凝固や白濁が起こったり、乾燥後も表面がべたつきが残ることがあります。とくにアルコール分を含むラッカーシンナーの使用は避けてください。塗膜強度が保たれず、すぐに剥離してしまいます。